エコビレッジ…とても魅力的な言葉の響きを初めて聞いたのはいつの頃だったしょうか? 思い返してみると、1997年、僕の家族が安心して暮らせる住まいとデザイン事務所を新築した年です。 そしてこのことがきっかけとなり、店舗デザイン事務所からエコ建築デザインに特化したアーキテクトビルダーとして生まれ変わった変革の時期でもあります。
僕が北海道でエコビレッジを実現しようと思い立ったのは、故高橋元さんのもとを尋ね、1999年に実施されたエコバウ建築ツアーに参加したことがきっかけでした。そのとき訪れた北ドイツキールのエコビレッジを見たことが僕に思いを募らせるきっかけになりました。 防風林に囲まれた敷地の住宅棟は連棟式でいくつかに分けられて建設されていて、集会場と保育園を兼ねたコミュニテイ棟を中心に土の広場や、ビオトープの浄化池、菜園などが広がる環境には、まったく気張ったところが無く、自然体でほのぼのとした懐かしさを感じさせる住環境を形成していました。大掛かりなことはせずに、身の丈にあったエコな住まいの集合体として、集まって暮らすメリットを活かすことが出来ればよいのだと教えてくれたようです。
翌年の2000年には、市民グループ「エコビレッジ実行委員会」
を結成し、札幌市藻岩下地区でのエコビレッジ建設を目指しましたが、結果的に実現を断念しました。その後も「北海道エコロジー住宅学校」などの啓蒙活動を続けていたところ、昨年末に、北海道で始めてのエコビレッジを実現するための土地と再度めぐり合ったのです。 僕の故郷でもある北海道の道南に位置する伊達市は、北の湘南と呼ばれるほど温暖で、雪の少ないことからセカンドライフを過ごす移住者からも注目のローカル都市です。噴火湾を望む小高い丘の上の計画地1082坪を4〜6世帯を共同で所有し、住宅と菜園を中心にしたコミュニテイを形成します。自然志向の生活を目指し安心安全な食を追及すると農的暮らしに行き着くと思います。 実は僕も、今年から小さな有機菜園デビューをはたし、パーマカルチャー的生活の楽しさを実感しています。このことは、エコビレッジのすばらしさが、作り手としてだけではなくて、住み手としても感じることが出来るような気にさせてくれました。
伊達エコビレッジ計画は、コーポラティブ方式を採用するため、具体的な計画は住人と一緒にこれから始まります。緑と暮らす環境と健康に配慮したエコビレッジを目指して、集まって住む住人達を募集しています。
2007年10月29日 西條正幸
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