「農を楽しむ」西條さんの菜園便り⑱
北海道新聞朝刊連載 平成23年1月13日 掲載コラム
「冬の畑・スプラウト編」
この季節、菜園生活の楽しみは、春に向けた作付けプランを考えることですが、今年は冬の間でも楽しめる、室内栽培に挑戦しています。
まずは、昨年の秋に鉢上げしておいたパセリやルッコラなどです。毎年玄関先に置かれ、冬の間も少しずつ収穫し、我が家の料理に彩りを添えてくれる野菜達ですが、晩秋まで畑で元気な野菜やハーブは、そのまま冬の室内で育てることが出来るようです。更にこの冬は、手軽で短期間に収穫できるスプラウト栽培を始めてみました。
スプラウトとは、モヤシやカイワレダイコンでおなじみの、植物が発芽した新芽野菜のことですが、最近は、ビタミンやミネラルなど栄養が豊富な健康野菜として、いろいろな品種が栽培されているようです。
スプラウト栽培は、家庭にある物をリサイクルして、手軽に始められるところが良いと思います。
僕が準備したのは、果物のプラスチックトレー・梱包材のプチプチシート・ガーゼ・クッキングペーパーなどです。ブロッコリー・そば・レッドキャベツ・ミツバ・空心菜など数種類の種を取り寄せました。当然のことですが、新芽を食べるので、農薬を使っていない専用の種を購入しなければいけません。
僕が実践した栽培法を簡単に説明すると、まずプラスチックトレーの底の大きさに合わせて、プチプチシートを切ります。一皿に3~4枚くらいでしょうか、凸面を上にして並べます。その上にガーゼ(クッキングペーパー)を3~4枚、プチプチシートを巻き込むようにカットして敷き込みました。
次に、表面が浸る程度に水を入れ、前の晩から水につけておいた種を、重ならないようにびっしり並べます。2~3日で芽が出るので、水を切らさないようにし、芽が伸びるまでは、新聞紙などをかけて暗いところで育てます。5㎝位になったら、お日様の当たるところに出して緑化させますが、早く日に当てると伸びが止まるのでタイミングを計ります。水は、毎日交換しながら育て、10日ほどで食べられるようになります。収穫はハサミで切り取りながら、サラダでいただきました。
今シーズンは、スプラウト栽培用に、種を多めに採取しようと思っています。
取り残して棟立ちしてしまった葉物野菜は、「塔立ち菜」として食べられることを昨年知りましたが、残ったものはそのままにして花を楽しみ、最後に種を取っても良いでしょうね。
春からの菜園暮らしの楽しみが、また増えてしまいました。
雪に閉ざされた冬の北海道でも、工夫次第で、冬ならではの栽培を楽しむことが出来そうです。
鉢上げ野菜:右からルッコラ・パセリ・イタリアンパセリ
食べごろのスプラウト:ブロッコリー・ミツバと専用の種