仁木町で新規就農したご夫婦が、葡萄畑の中に建つコンクリートブロック造の大きな三角屋根住宅をリノベーションした。家を囲む畑で、ワイン用の葡萄6品種をできるだけ自然に栽培し自家醸造する、自然派ワイナリーを目指している。数年後、この『NORTH CREEK FARM』でつくられた自然派ワインが飲める日が待ち遠しい。
築40年以上経過していてどっしりとしたコンクリートブロック造の住宅は、延べ面積が60坪以上の大空間で、2人暮らしには少々大きすぎた。そこで2階はほぼ手を付けずに、1階を中心に内装の改修工事を行い、玄関ドアと窓を断熱サッシに取り替え、外壁に外断熱を施した。暗かった廊下を開放してキッチンとリビングをつなげ、オープンな大空間に。その中心に据えたクッキング仕様の薪ストーブが自然素材で仕上げたLDKによく映える。外断熱のおかげで、躯体壁のコンクリートブロックは薪ストーブの熱を保つ蓄熱体としての力を発揮。家全体を心地よく暖める。
外壁に使用した木酢液を浸透させたカラマツの板壁は、腐食に強く長持ちし、メンテナンスの必要がない。建具や家具、キッチンなどはトドマツを使ってこの家に合わせて製作。植物油の自然塗料仕上げの丁寧で手づくり感あふれる設えが魅力を放つ。また道産ミズナラフローリングや道南噴火湾産のホタテ貝殻でつくった漆喰調の塗り壁が、自然素材のもつ美しさと素朴な味わいを感じさせる。
こうした北海道産の無垢の木を内外装に使用して木質化を図ることは、SDGsに沿ったサスティナブルな家づくりにつながる。窓に映る葡萄畑と背景がなんとも美しい、ナチュラルスタイルの自然派住宅となった。