住まい探しでは、子どもの通学圏内やご両親の住まいの近くで物件を希望するケースが多いが、新築用の空き地はそう都合よくは見つからないし、中古住宅も条件に合う物件にはなかなか巡り合えない。Hさんもそうだった。ご夫婦とお子さん2人の4人暮らし。選んだ中古物件の延床面積は52坪で、少々持て余す広さだった。当然、面積相応にコストもかかる。
そこで間取りは大きく変えずに、キッチンとユーティリティをゆったり広くした。縁側のある和室は建具を開放してオープンスペースに。しばらくは、ここが家族の寝室になるだろう。住まいの中心には薪ストーブを設置した。上部の天井を開口して吹き抜けにすることで、2階の小屋裏フリースペースとつながるようにした。そこには壁一面の本棚がある。この家の図書室であり、子どもたちの遊び場にもなる。使い勝手と家族の団らん、子どもたちの集う居場所づくりを心がけてデザインした。
自然素材は、いつもの定番。北海道産ミズナラ材のフローリングは丈夫で長持ちで、一押しの床材だ。壁の仕上げは、噴火湾産のホタテ貝殻粉末をブレンドした化学成分無添加のオリジナル漆喰。天井のトドマツ羽目板、土佐和紙と麻織物のクロス仕上げなど、すべてが天然由来で、ビニール建材は一切使用しない。当社らしいこだわりの自然派住宅が完成した。