2人に負荷をかける住まい
2 人に負荷をかける住まい 健康に暮らすための終の棲みかとは?
自然環境への影響に加えて、健康問題に対する影響についても、注意する必要があります。住まいが原因で起こるさまざまな健康被害は、建材の接着剤や塗料に含まれる揮発性の合成化学物質と、防腐・防虫処理に使われる農薬による影響が、主であることがわかっています。室内空気汚染の原因である有害化学物質を含む建材や塗料・接着剤を減らすことで、人にも地球にも優しい環境をつくることにつながります。
2003年7月施行の改正建築基準法により、家づくりに影響のあるいくつかの化学物質が規制されました。これにより、健康配慮型の低公害建材が、開発・普及されています。また、住宅を建てる時には、24時間連続の換気装置の設置が義務づけられ、その換気装置には2時間で家全体の空気が入れ替わる能力が必要とされています。このことは、僕たちが現在住んでいる家が、換気装置なしでは病気になる、人に負荷のかかる住まいになってしまっている証明でもあります。しかし、シックハウス症候群や化学物質過敏症といった、現代の環境病の症状を訴える人は、後を絶ちません。しかも、アレルギーには、人それぞれの特徴があり、反応する化学物質にもさまざまな違いがあります。にもかかわらず、この規制によって、制限を受ける化学物質の数は、たったの13物質にすぎないのです。
さらに、現代人が、食事における栄養バランスの崩れやストレスによる免疫の低下により、有害化学物質に対して抵抗できなくなってきていることも、影響しているのかもしれません。また、ウイルス感染を防ぐため、消毒用のアルコール容器が置かれ、抗菌仕様の建材や日用品があふれだしました。理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターの調査では、子供のころからある程度非衛生的で、雑菌などに触れながら暮らしている方が、花粉症などのアレルギー体質にならない、との調査結果が報告されています。
新建材で虫もつかない家が、健康に暮らすための終の棲みかと言えるのか、不安になりませんか。