BIO + STYLE
ビオプラスの家

2デザインと素材選び―自分流のこだわり

家に対する愛着と満足感

食の安全と健康は、生活と密着する最も気になる話題ですね。ナチュラルな暮らしを求めることは、今やファッションのようです。無農薬・有機栽培の米や野菜、オーガニック食材は、菓子からお茶、お酒まで手に入るようになりました。自然農法米で仕込んだ米焼酎を初めて見つけた時などは、飛び上がるほど嬉しくなったものです。そうはいっても、すべて昔のような暮らしに戻ることはできません。であれば、せめて、できることだけでも気持ち良い暮らしにこだわりたいと思うのです。こんな自分流のこだわりは、地球の環境にも迷惑をかけない暮らしだったりします。

エコロジーの概念を基にした自然派住宅では、木をたくさん使うことが基本です。木でできるところは木でつくるようにします。自然素材の土や草などを原料にした材料を組み合わせた使い方が良いと思います。単純にこれらの条件を満たすものを探して、ふるいにかけると、選択すべきモノが見えてきます。安全性の確認は、食品と同じに考えて、製品の成分表を取り寄せる。あまり難しいことは考えず、化学成分の横文字が出た時は要チェック。心配ならばインターネットで検索するといいです。

僕がつくる家は、地元産原料にこだわって、道産無垢の木を構造材に使う。道産珪藻土や火山灰、ホタテ貝の漆喰塗り壁、新聞の古紙を回収・リサイクルしたセルロース断熱材などを主材料として使用し、壁紙の和紙は四国から取り寄せる。家具や建具もすべて道産無垢の木材で作ることもできます。飽きのこないシンプルなつくりにすると、家に使用する仕上げ材の種類も自然淘汰され、多くを必要としなくなります。

とはいえ、デザイナーの僕としては、オーガニック食材を探すように、エコ建材を探すのは結構楽しいことで、これを人任せにするのはもったいない。また、料理のように失敗したからといって、簡単に作り直すというわけにはいきません。

素材選びのポイントをひと口で言うならシンプルな自然素材を選ぶことです。材料と簡単な道具さえあれば自分でも作れてしまえそうなあまり手のかからない素材は自分で探す。そして、自分で選んだ素材に一工夫して仕上げの施工に参加するのも楽しい。何よりも、自ら参加することで得られる家に対する愛着と満足感は、捨てがたいものになります。自然素材の良さを五感で感じる暮らし、エコスタイルで行きましょう。

15年前に建てた著者の自邸。やさしい自然は住宅の原点でもある