4エコスタイルガーデンのある住まい
自然と共生する住まい
住まいと自然との調和。自然環境を壊さず、小さな生き物たちのささやかな棲みかを残すためにも、住まいを装飾する緑のデザインは大切です。雑草防止の除草剤や防虫剤などの農薬類もできれば使いたくない。屋根に草を植えたり、屋上庭園やベランダガーデンを作ったり、壁面を緑化フェンスで覆ったり、といった手法はドイツのエコ住宅でよく見られるソフトな手法です。
緑化システムは、環境との調和だけではなく、夏は涼しく、冬は暖かい断熱材としての役割も果たし、快適な室内環境と省エネにも貢献してくれる優れものなのです。屋根を紫外線による劣化からも守り、耐久性も格段に向上することになります。屋根緑化はさまざまな工法が考えられていますが、物置やカーポートなど、あまり神経質に水漏れを気にしなくてもよい場所には積極的に取り入れたいものです。土地が狭くて庭の造れないような家庭でも、手軽に緑化を取り入れることができれば、緑のない町並みが一新され、心地良い地域環境づくりにもつながると思います。
エコな庭づくり
持続可能でエコロジカルな庭づくりを目指すならば、循環型の資源活用や自然エネルギーの活用も取り入れたいですね。
たとえば庭の雑草や落ち葉、あるいは生ゴミをコンポストに集めて堆肥化し、肥料として土に還元する。雨水を集めて貯蔵して庭の散水やトイレなどに再利用する雨水タンクを設置したりする。地下に貯水タンクを埋設できると理想的ですが、雨樋に集まる雨水を樽などに貯める簡単な装置もあるので、庭の水やり程度なら気軽にチャレンジできます。
ドイツでは、サンルーム的なガラス張りの温室はウインターガーデンと呼ばれますが、温熱効果を考えて夏は緑のカーテンでしっかり日射を遮り、冬は温室効果による太陽熱を蓄えるダイレクトゲン利用をするなど、リビングの延長として上手に活用されています。冬の厳しさに違いがあるけれど、北海道の短い夏と長い冬を快適に過ごし緑を楽しむための空間づくりにも参考になります。ウインターガーデンを取り入れることにより、緩やかに放出される湿気が冬の過乾燥対策としても効果を発揮するでしょう。小さなグリーンスペースを家中のところどころに作ることができると、さらに室内環境も改善されると思います。
カーポートの屋根を緑化し、周囲の自然と調和
雑草や落ち葉、生ゴミなどを堆肥化するコンポスト
地下に貯めた雨水をくみ上げるポンプ
木酢液のガーデンマテリアル
庭造りに使われる木材製品の多くには対候性が求められるため、有害な防腐剤が染み込んだ材料が使われがちで、土壌への影響や最終処理のことを考えると憂うつになります。輸入品中心の自然塗料の中には、エクステリア専用のバリエーションもありますが、実は、日本にも古くから使われている和製の天然防腐剤があるのです。
それは、木炭を作る過程に出る煙を冷却することによって取れる黒い液体「木酢液(もくさくえき)」です。成分の8〜9割が水で、残りは200種類を超えるさまざまな成分で構成されています。木酢液が持っている殺菌作用を生かして、農業での防虫剤や活性剤、一般家庭での消臭剤、入浴剤、化粧品などに広く使われています。
独特の燻煙臭は、スモーク製品を想像するとわかると思います。食品を長持ちさせる効果は、建材に使用しても防腐・防カビ・防虫などの効果が期待できます。木酢処理されたガーデンマテリアルは、エコな付加価値をさらにUPさせた商品であり、自然派をうならせるエコな庭づくりには欠かせない素材であります。用途に応じて加工された部材を木酢液のプールに一昼夜漬け込み、浸透させた材料を燻煙室に入れて低温乾燥させてから使用します。
また、時々、木酢液に漬け込んだ北海道産のカラマツやトドマツを、家の外壁の仕上げ材として使うことがあります。一晩漬け込んだ板は真っ黒くなります。経年変化で徐々に色が薄くなっていきますが、できるだけ何もせずにそのままノーメンテナンスで使い続けます。黒い色がお気に入りの場合は、木酢液を上塗りすると、元の色の板壁になります。板を漬け込まずに木酢液を塗った場合でも、徐々に風化して、レトロな風情が渋いアンティーク仕上げとなります。
自然の特性を活かした木酢液のガーデンマテリアルの利用はまだ始まったばかりですが、環境にも配慮した素材として、今後は積極的に取り入れていきたいものです。
アプローチや塀用の木酢ガーデン枕木
花壇の見切り用の木酢ガーデン杭
外壁や木塀用の木酢野地板