【事例集】オーストリアのエコビレッジ
ウィーン 2006年
オーストリアで最初に計画されたエコビレッジ、ウィーンの郊外にあるゲルトナーホフ。25年前に建設されたエコ団地の隣に、最新の設備を取り入れた新プロジェクトのエコ団地が建設されました。どちらも共通して南側に平屋の建物を建設し、北側には2〜4階の建物を配置、太陽光が行きわたるように配置されているのが特徴です。
旧タイプは、コーポラティブ方式を採用。住人が計画段階から顔見知りになるため、入居時にはすでに、住人同士の間に良好な関係ができ上がっていた、といいます。ここでは20年以上経った今でも、住人家族同士が一緒に旅行に出かけることも珍しくないほど、仲が良いそうです。緑に囲まれたコモンスペースは子供たちの遊び場です。このほか、路地や集会場、菜園などがあり、最近失われつつあるご近所づきあいや、大切なコミュニケーションをとるための場になっています。
年間降水量が500mmという雨の少ない地域のため、雨水利用は欠かせません。タンクによる貯水利用のほか、コンポストトイレも節水に一役かっています。汚水の排水処理は、建物の裏手にある4つの池で、アシなどの植物の力を借りて、段階的に浄化してから排出されます。駐車場は、団地の外側にあり、団地の中には入れないようにしています。最初は不便と反対していた人たちも、緑が生い茂り、静かな環境ができたことに大変、満足しているといいます。省エネ、植物浄化、再生建材が、この団地のテーマになっています。一方、新しいエコビレッジのテーマは省エネ、パッシブ、ゼロエネルギーなど、よりエネルギーや二酸化炭素(CO₂)の排出削減に配慮されています。
南面の大きな開口部で太陽熱を蓄熱し、太陽熱コレクターやペレットボイラーを使った集中暖房を取り入れています。また、通路の地下の空気ダクトと、クールチューブをめぐらした地熱を利用した換気システムにより、冬は、マイナス20℃の外気が室内に入る時には0℃に、夏は、13℃に冷やされた空気を室内に供給できます。これにより、必要エネルギーは通常の10〜20%の使用料で済みます。このエコビレッジでは、日常生活でのCO₂排出量が、トータルとしてゼロになるように計画されていました。
集会場、キッチン厨房、ランドリースペースなどの共有スペースも、明るくゆったりしていて、中庭に面しているため、子供たちを遊ばせていても目が届くようになっています。