『農を楽しむ』西條さんの菜園便り ㉑
北海道新聞 朝刊連載 平成23年2月24日掲載
畑の仲間たち
先週は、仕事で東京方面へ行っていました。都会の真ん中で、梅が花を咲かせているのを
見かけたり、冬野菜がまだ残っている小さな畑を電車越しに見つけたり、一足早く、春の
気配を感じることが出来ました。
僕が菜園生活を始めて、今シーズンで早5年目になります。そもそも、菜園生活を始める
きっかけになったのは、いくつかの偶然が重なったことです。1つは、僕の娘が小さい頃、
アトピー性皮膚炎で通っていたお医者さんH先生と知り合ったことです。
H先生はアレルギーの専門医ですが、自身が過敏症のため、自邸の建築では素材選びに
苦労された経験のあるお医者さんでした。 『健全な体は、食べ物にも影響される』との
考えから、有機栽培の野菜作りを続けていました。
そしてもう1人は、農業の専門誌を出版する会社に勤めるTさんです。こちらは、札幌市が
毎年募集している農業塾を卒業して、将来就農を夢見ながら、最近流行の半農半Xを実践
するサラリーマンです。 有機野菜のようなピュアな家を建てたくて、 僕の会社を訪
ねてきました。田舎にある、古い農家のようなたたずまいの家を建てたのは、5年前です。
そしてこの二人が通う畑はご存知、札幌東区の『丘珠有機農園ヒバリーヒルズ』です。
ここは我が家から、車で5分ほどの距離にある畑で、農薬と化学肥料を使わない有機農業
の専用農園です。 この2人の誘いを受けたことがきっかけで、菜園生活を始めることに
なりました。当時の僕は、パーマカルチャーという、オーストラリア発祥の永続的暮らしの
ためのデザイン概論に凝っていて、このシステムに欠かせない、農業のテクニックを実践で
きないかと考えていた時でもありました。教本を片手に、失敗しながらも、めげずに何とか
やっています。
うかうかしている間に、まもなく苗作りが始まりますね。
最近は、札幌市内にも市民農園が増えていますが、有機農業専用の農園の話はあまり聞きま
せんが、本州では、有機専用の市民農園が大人気のようです。
僕の家づくりやヒバリーヒルズの仲間達との農的暮らしなどについて、3月5日(土)
北海道海 クリスチャンセンターで開く菜園生活講座『オーガニックカレッジ2011』で
お話します。
(お問い合わせは先・ビオプラス西條デザイン TEL011-774-8599)
安心して野菜作りが出来る環境を求めている人は、大勢いると思います。今年は菜園ブームに
更に拍車がかかることでしょう。有機栽培専用の市民農園が増えることを期待しています。
渋い道南杉の下見張りのTさん宅。
昨年春、会費で購入した中古の耕耘機の試運転風景。