「農を楽しむ」西條さんの菜園便り㉒
北海道新聞 朝刊連載 平成23年3月10日掲載
「冬でも堆肥づくり」 ミミズコンポストの話
僕は冬の間でも、春からのシーズンに備え、せっせと自宅で堆肥づくりを進めています。 僕が使っている堆肥ボックスは、再生プラスチックで出来ているオーストラリア製のミミズコンポストです。使い始めて、ようやく2年目の冬を越しました。
コンポストで使うミミズは、畑の土から出てくる大きなフトミミズではありません。釣り餌として売られているシマミミズで、畑の堆肥や生ゴミの中でもよく見かけます。フトミミズは縦の動きで土を深く起こし、シマミミズは横の動きで土を柔らかくすると言われているのですが、有機物を分解し、栄養素の高い土を作ってくれるのは、シマミミズの方です。
僕のコンポストは、大きな4段の重箱のようになっていて、一番下段の受け皿には水抜き口が付いています。生ゴミ用のバケツコンポストと同じ理屈ですが、ミミズのオシッコと水分が貯まった、すなわち液体肥料を取り出すためのものです。正確に量ったわけではありませんが、ひとシーズンで2リットルのペットボトル10本以上は取り出すことが出来ました。この液肥は2~3倍に薄めて、週に1回ほどの割合で使います。
残りの3段のお重の底は網状になっていて、ミミズが上下に移動できるようになっています。最初は2段から始め、徐々にお重をかさねていきます。1番上の段が食堂ならば、2段目が居間、3段目は寝室・・・と言ったところでしょうか。コンポストの中には、ミミズの床として、水に浸したヤシガラ繊維やピートモスを基材として敷き込みます。
この一番上の段に、茶葉やコーヒー殻・野菜、果物の屑などを混ぜ込みます。
ある程度分解が進んで量が増えてきたら、一番下の段から、出来上がっているミミズ堆肥を取り出します。 出来上がったミミズ堆肥は乾燥させ、ふるいにかけて保存しています。サラサラになった堆肥は扱いやすく、ミネラル分がとても豊富で、苗作りやプランター栽培などにも重宝しています。取り出して空いたお重は、また上段に乗せて、繰り返し続けます。
ミミズが作る堆肥と液肥は、臭いが気にならず、室内でも使うことが出来る、貴重な有機肥料です。自宅の居間でこれから始まる苗作りには、欠かせません。
ミミズコンポストは、理屈が分かれば自作も可能です。また様々なコンポストのスタイルがあると思いますが、自宅から出るゴミを土に還すシステムを取り入れることは、循環を感じる暮らしにつながり、とても大切なことだと思います。これも有機菜園あってのことですが、家の横に小さな畑があることで、コンポストを取りいれた野菜作りの楽しみが増えると思います。
冬季間は事務所の入り口横に置かれているミミズコンポスト。春日なると外に出します。
野菜、果物。などのくずを混ぜた最上段のコンポスト
3段目のきれいに分解された堆肥とミミズ