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ビオプラスの家

(3)接着剤の話

接着剤の使用量を減らすこと

住宅を建てる際に使われる合成化学物質の代表でもある接着剤は、現場施工に使用される以外に、建材の製造時にすでに使用されている分も含めると、知らないうちに、大量に使用していることになります。その量は、一般的な木造住宅35坪で200kg25坪のマンションで100kgにもなるのです。ここ数年で、揮発性の高い化学物質の使用量は減りましたが、代替化学物質も環境病の原因になる可能性があるため、シックハウスや過敏症対策としても、接着剤の使用を見直す必要があると思います。接着剤の使用を減らすことが、健康な住まいづくりの近道でもあります。

建材の製造時に使われる接着剤

合板、集成材、繊維板、フローリングの製造時に使用される接着剤には、ホルムアルデヒドを含むユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾシノール樹脂のほか、ノンホルマリンの水性ビニールウレタン系があります。また、接着剤はグラスウールやセルロースファイバーなど、繊維系断熱材にも使用されています。

現場施工時に使われる主な接着剤

壁紙のクロスには、デンプン系や酢酸ビニールエマルジョン系が使われます。壁や床の仕上げ材には、材質ごとに多種の接着剤を使用。揮発性溶剤を含む合成ゴム系や、可塑剤を含む水性のアクリル樹脂、木工用ボンドでおなじみの酢酸ビニール樹脂系、内分泌かく乱物質を含むとされるエポキシ樹脂系などがあります。

安全な接着剤を選ぶポイント

ホームセンターへ行ったら接着剤のコーナーを見てください。溶剤型と無溶剤(水性)型があります。溶剤型は揮発性有機化合物(VOC)を含むので、できるだけ使わない方がいいでしょう。水性タイプの無溶剤や無可塑剤型接着剤は「環境対応型」といわれ、VOC対策として開発されたものです。こちらを選ぶこと。

天然素材の接着剤もある

環境対応型の接着剤とはいえ、化学物質はイヤという自然派志向の人もいるでしょう。現在では、壁紙用の防腐剤を含まない無添加のり、コルクやリノリウム用の天然ゴムラテックスのりなど、主にドイツの天然塗料メーカーの輸入品を、手に入れることができます。また、ミルクカゼインをアルカリ反応させて作る接着剤は木工用ボンドの原型で、天然モノにこだわる人にはおすすめです。

接着剤なしで、住まいはできないか

今の家づくりには欠かせない、と言われる接着剤。しかし本来、日本の木造建築では、土壁や漆喰に混ぜた「つのまた海草のり」や、木の接着にニカワを使っていたぐらいで、接着剤といわれるようなものは存在しませんでした。自然素材を使った住宅でも、施工時や見えない部分では、接着剤に頼っているのが現状です。接着剤なしで住まいはできないのかまじめに考えてみると結構いけます。まず、接着剤を使った断熱材、下地用合板、化粧合板、フローリング、構造用集成材は使わない工夫をし、なるべく無垢材と小幅板で対応します。建具や造り付けの家具も合板類を使わず、無垢材をホゾ組みにしたり、最小限の幅剝ぎ集成板と羽目板で造る。壁紙や塗り壁には、天然のりを使用するようにして、フローリングも無垢材をクギ打ちだけで施工すれば、かなりの量の接着剤を減らすことができます。

左:ドイツ製の天然系接着剤。メチルセルロースを水で溶いて使う壁紙用の無添加のり(上)と、天然ラテックスゴムのコルクやカーペットなど床材専用の接着剤(下)
右:ドイツ製のワックスと天然系塗料。写真右側のホームワックスは、自然素材の床や家具などに、拭き掃除感覚で手軽にワックスがかけられる。左側は、木の床や家具の塗装に適したクリアー仕上げのオイル塗料。人への刺激を抑えた自然健康塗料で、亜麻の植物油が主成分。