BIO + STYLE
ビオプラスの家

(5)天然ワックスの話

木の特性を損なわず、表面を保護

ワックスに含まれる化学物質が原因と思われるシックハウスやシックスクールの問題が、最近聞かれるようになっています。無垢の木にこだわった木の家づくりには、環境や人体に与える影響の少ない、より安全な塗料とワックスが必要になります。木に浸透し、耐久性や耐水性を向上させ、内部から木を保護する役目が塗料。美しさを保ち、汚れやキズを防止する役目を持つのがワックスですが、正しく使い分けされているでしょうか?

本来、木を保護する場合、天然ワックスは、天然オイル塗装で下ごしらえした後のメンテナンスとして使用します。オイルを塗らずに、いきなりワックスを塗ってしまうと、消耗のはげしい場所では逆にヨゴレが木の中にまで入り込んでしまい、厄介なことになります。耐水性を必要とする場合は、オイルとワックスが一緒になったオイルワックスを使用することもあります。天然ワックスは、主原料となるロウを溶剤や植物油で溶かして作り、ロウの種類によって使う目的も違ってきます。

天然ワックスの代表、ミツロウのワックスは、石油系の溶剤や松の木から抽出したテレピン油で溶いて作られていました。しかし、これらの揮発性の高い溶剤を使用すると、乾燥時に発生する揮発物質がけっこう刺激となります。これは、最近の天然塗料で使われるオレンジやレモンの皮から採った柑橘精油にも言えることで、使いすぎると、天然成分といえども注意が必要になるのです。

特に過敏体質の人は気をつけてください。無臭の石油系溶剤であるイソパラフィンを使ったワックスは、ドイツの自然健康塗料メーカーであるリボス社から、アレルギー・化学物質過敏症対策用として販売されています。過敏体質の人は、天然塗料やワックスであっても、まずサンプルを取り寄せて試してみる必要があります。塗ってしまってから気がついても手遅れです。せっかく手に入れたマイホームで、後悔したくはありませんよね。

代表的な天然のロウ

【木ロウ】Japanese Wax
ハゼの実から採ったロウ油。日本の伝統的ろうそくの原料で、色は緑色。晒して不純物を取り除いたものを「白ロウ」と呼ぶ。ワックスとしては、他のロウと調合して使うのが一般的。
【ミツロウ】Bees Wax
ミツバチの巣から採ったロウ油で、晒していないナチュラルなミツロウは、はちみつの甘い香りが残っていて黄色。晒すと白色になる。天然の抗菌作用を持っている天然ワックスの代表的ロウ油。口紅や食品添加物としても使われている。
【カルナバロウ】Camauba Wax
カルナバヤシの葉から採れるロウ油で、光沢があり、優れた耐水性があるのが特徴。硬く扱いにくいため、他のロウ油と混ぜたり、オイルと混ぜたりしたオイルワックスとして使用される。

床暖房用コルクタイルで仕上げたダイニングキッチン