1外と室内をつなぐ広い空間をつくる―はたらく玄関
素材選びは、空間デザイナーである僕の仕事です。といっても、自然派住宅を作るのに必要な自然素材はそう多くありません。まして、地域の材料を活用しようとすると、その選択肢は、ぐっと絞られてきます。そこに気がついたら、後はとことん突き詰めるしかない。それしかない。やるしかない。それが、僕の仕事です。
1 外と室内をつなぐ広い空間をつくるーはたらく玄関
最近、家庭菜園ブームの影響か、昔懐かしい土間のような外とつながる玄関が、見直されてきているようです。特に、北海道のような寒冷地では、外と室内の中間的役割を担う玄関が、長い冬を楽しむための空間にもなるのです。たとえば、広めの土間に水場があると、汚れ物や収穫した野菜の泥を落とすなど、とても重宝します。何より、雨降りや冬場の軽作業では、大活躍します。また、漬物や餅つきなどができると、さらに楽しいですね。
玄関の天井の高さを、居間よりも少し低めに抑えることで、空間のメリハリができます。そのことで、居室側に開放感をもたらします。同じ理由で、廊下の天井も低めにしたり、廊下の床フロアーを長手方向に張ると、奥行きを感じたり、逆に間口なりの短手方向に張ると、廊下幅が広く感じるなど、目で見る感覚の違いで思わぬ効果が得られることもあります。
玄関からつながる空間に、収納スペースのある住まいも増えています。室内物置のほか、ボイラー室を兼用した乾燥室をつくることもできます。逆に、温度の低い食品庫などの空間として外気の取り入れ室とすることもあります。また、たくさんの靴を収めるシューズクローゼットやアウトドア用品の収納など、目的に合った使い方ができます。