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ビオプラスの家

3家族の健康を守る―本当に必要な台所

自然素材の家を建てても、キッチンが化粧合板ではちょっとガッカリ。時にはメンテナンス性と耐久性を重視して、合成化学物質の影響がないステンレスやホーローのキッチンを選ぶこともあります。主婦が長い時間すごし、家族の健康を守るべき大切な部屋が、汚染された建材でつくられた空間であってはなりません。

合成樹脂を極力使わないために、木のキッチンを作る場合は、無垢の木を長手方向にだけ接着剤でつないだ幅剝ぎ板を作って、最小限の接着剤だけですませるようにしています。裏板など見えないところにも、無垢の板をはめ込むなど、決して手を抜きません。こうして、健康にリスクの少ない、自然素材を生かしたエコ・キッチンを手作りするのです。ただ、木の仕上げに自然塗料を使う場合、注意点があります。植物油ベースの油性塗料は、収納内部などでの使用には不向きです。その理由は、酸化による嫌な臭いや、溶剤成分が残ることがあるからです。このため、密封空間は無塗装のままにするか、どうしても塗装したい場合は、植物油を含まないミツロウワックス類やセラックニスなどを使うとよいでしょう。

キッチンのワークトップの素材はステンレス、大理石、タイルなど選択肢はあると思いますが、もし、天板も無垢の木にしたい場合は、硬くて丈夫なナラやタモなどの広葉樹をおすすめします。植物油のオイル塗料を十分に染み込ませ、撥水性の高いカルナバロウワックスなどの自然ワックスを時々塗ってあげるといいです。

エコ・キッチンのつくり方
キッチンは、家族が直接口に入れる食べ物を扱う大事な場所です。それだけに、家族の健康を考えたエコ・キッチンを作るには、床や壁の素材のほか、作業台などの設備の素材にも注意する必要があります。

(1)床ー柔らかく、抗菌・防水
塩化ビニールのクッションフロアーやPタイルを使ってはいけません。塩化ビニールの成分には発ガン性のある有害物質などが含まれていると言われます。プラスチックを加工しやすくする可塑剤は、シックハウスの原因物質でもあります。燃やすと、有害な塩素ガスなどを排出し、環境に与える影響も大きいと思われます。そこで、何といってもおすすめはコルクです。柔らかなクッション性があって、抗菌性と防水性を兼ね備えています。ただ、注意すべきことが2点あります。本来の柔らかさを残し、無害な仕上げを施したナチュラルワックス仕上げを選ぶこと。そして、施工の際に使用する接着剤は、リスクのできるだけ少ない安全なものを選ぶこと、です。

(1)床

(2)壁ー漆喰の塗り壁はいかが
塩化ビニール製の壁紙を使ってはいけません。問題点は、床のクッションフロアーと同じです。おすすめは、漆喰の塗り壁でしょうか。漆喰はアルカリ性で、その成分には抗菌性があり、カビも生えにくいからです。石膏ボード下地に簡単に塗れる石灰クリームやホタテの漆喰などが、手軽でローコスト。自分で塗れば、ビニールクロスを張ってもらうのとほぼ同じコストですみます。変わりどころでは、珪藻土タイルもあります。最近流行している塗り壁建材の原料である珪藻土を高温で焼き、セラミックにしたものです。専用の接着剤で、簡単に誰にでも手軽に張ることができます。湿気を吸ったり吐いたりする呼吸性が抜群に優れているのが特徴。信じられないでしょうが、ちょっとした油汚れは吸収して目立たなくなってしまうのです。

(2)壁

(3)天井ー耐火性に優れた珪藻土
天井には、耐火性にも優れている珪藻土はいかがでしょうか。植物性プランクトンが堆積して化石化した、良質の北海道の珪藻土を原料にした塗り壁材は、意外に油汚れが目立たないので、長期間質感を維持しながら使用することができます。吹き付けやローラーで仕上げてもいいし、コテ仕上げをするのならば、あまり大きなパターンをつけずにしっかり押さえて表面を均一にした方が、汚れは目立たないようです。

(3)天井

(4)作業台ー機能的な木のキッチン
既製品のシステムキッチンを選ぶのであれば、ホーローやステンレスなどでできたものがいいです。少し前までは、化粧合板製のキッチンや収納棚の内部が、家の中で最も化学物質に汚染されている場所になっていたのです。ちょっとこだわって、オリジナルのシンプルなナチュラル・キッチンをつくってみます。無駄を省いた機能的な木のキッチンがおすすめです。天板はステンレスやタイル仕上げにするとして、本体には無垢の木を使い、天然系の塗料で仕上げます。

(4)作業台

(5)クッキングヒーターーガス派か、電気派か
ガス派か電気派か?絶対的な火力が魅力のガスか、火を使わず安心の電気か、いつも意見が分かれるところです。天然ガス利用のガスコンロは、石油と同じ化石燃料であり、限りある資源ですが、石油に比べ、未知の豊富な資源とも言われています。電気利用は、クリーンで熱効率の良いエネルギーと言われていますが、電磁波の発生源が問題にされます。個人的には、中華鍋を思いっきり振れるガスコンロに憧れながらも、実際にはIHヒーターを使用していますが、IHヒーターは電子レンジと並びキッチンの電磁波発生源であることは間違いありません。オール電化住宅を希望される方には、電磁波発生の少ないラジエントタイプのクッキングヒーターをすすめています。

(5)クッキングヒーター

(6)レンジフードー高気密住宅対応のものから
現在の高気密住宅の普及がシックハウスを生み出したと言われます。そのため、建築基準法が改正され、24時間型の室内換気装置の設置が義務化されました。しかし、住宅の性能にかかわらず、一般的なキッチンのレンジフードは計画に含まれていません。このため、レンジフードを動かすと排気量が多くなりすぎ、室内の空気のバランスが崩れてしまうことがあります。結果として、余分なエネルギーを消費し、冬の過乾燥に拍車をかけることにもつながります。省エネタイプの熱交換機能は、冬の北海道では有効です。停止時の吸気を止める吸気シャッター機能、吸気と排気を同時に行う強制同時給排気機能など、高気密住宅に対応するいくつかの機種から選びたいものです。また、リフォームをお考えならば、24時間換気機能付きのレンジフードをおすすめします。一般換気扇を弱運転させた時の3分の1ほどの消費電力で、24時間の換気を行う機能を持っています。大掛かりな換気設備をせずに最小限の24時間換気を確保できるため、ローコストで、マンションの結露対策にも役に立つと思います。

(6)レンジフード