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ビオプラスの家

4快適な水回り―ユーティリティーをつくる

住まいの水回りにも自然素材を使いたいものです。水回りは、水がはねて汚れやすいので、掃除がしやすく、衛生的な抗菌仕様の建材が出回っています。しかし、木やコルクなどの自然素材の出番はなかなか回ってこないようです。水回りが、自然素材にとっては最も過酷で、敬遠されがちな空間であるためですが、素材によっては、ナチュラル感覚の気持ち良さとメリットを、感じることができるものもあります。

素材の特徴を生かした床仕上げ材を選ぶ
無垢のヒノキのフローリングを、トイレや洗面所の床に使用している幼稚園や小児科医院をのぞいたことがあります。そこで「ヒノキがもつ抗菌作用があれば、不衛生ではない」と教えてもらったことがあります。その建物は、漆喰の壁、腰壁にはスギの板が使われていたように記憶しています。

天然の抗菌作用を持つ木としてはヒノキが有名ですが、北海道の北檜山が北限とされるヒバなども、その代表格といえます。

古色仕上げの無垢の木とコルクタイルがマッチしたユーティリテイー空間

(1)木のフロアー
水回りの床には敬遠されがちな木のフローリングですが、国産の木でも耐水性があり、十分使える素材もあります。軽く暖かな針葉樹、重く冷たい広葉樹といったイメージがあるでしょうが、広葉樹にも桐の木のように軽くて暖かな素材があります。針葉樹のヒノキ、ヒバ、広葉樹のキリ、クリなどは水回り用フローリングとしておすすめです。

(2)コルク村のフロアー
コルク材の原料となる樫の木はポルトガル、スペイン、北アフリカに群生するブナ科の広葉樹。ワインのコルク栓はこの木の厚い樹皮部分(2〜5㎝ほどある)だけを剝がして平らな板状に加工した後、栓を抜き取ったものです。残った端材を加工したのがコルクの建材です。やわらかなコルクが樫の木の仲間だったなんて不思議な感じがします。

剝がしたコルクの樹皮は、20年サイクルで再生し何度も利用できる循環資源、採取や加工で出たクズまで、無駄なく利用してしまうスグレモノのエコ建材です。コルクの特性はミクロの気泡構造で軽く、断熱・防音性に優れ、湿気を通しにくいことです。こうした熱や水にも強い性質は、水回りにもうってつけの素材といえます。用途に応じて加工されています。

水回りに使いたい主な木材

[檜]ヒノキ
木のお風呂といえばヒノキ風呂といわれるほど、水回りの代表的な定番木。上品な香りと綺麗な木目が魅力の高級木だが、意外にも節有材はリーズナブル。

[檜葉]ヒバ
北海道~東北地方はヒノキよりもヒバが、耐水性のある地場材として有名。殺菌性の高いヒノキチオールを含み、耐水性はヒノキより優れる。香りが強いので過敏体質の人は事前のチェックが必要。

[桐]キリ
和装タンスで有名な桐は、軽くて狂いが少ないのが特徴。吸水性や透湿性が低い暖かな素材感は、コルクにも似て水回りに適していると思われる。国産材の中では最も軽く断熱性がある。

[栗]クリ
硬く重たい耐久性のある素材。伝統建築の土台に使われているほどで、硬質で水にも強い性質はハードな使用にも耐えられる。キズが付きにくく床暖房にも対応できる無垢フローリングになる。

コルク材のいろいろ

[コルクタイル]
粉砕したコルクの粒に少量の合成接着剤を混ぜ、金型に流し込んで熱圧し固めたブロックを、薄くスライスして作る。さらに時間をかけて加熱し、濃い色に変化したコルクは、収縮しにくく床暖房にも対応できる。

[炭化コルクボード]
水蒸気で高温発泡して作り、ボード状に成形された発泡板断熱材の元祖。建具や畳の芯材に利用したり、床や壁の断熱材、水回りのお風呂や玄関の土間コンクリート下に敷き込む断熱材として使える。

[ラバーコルク]
コルクにゴムチップを混ぜ、防振性を高めた。シートやタイル状に加工され、店舗や大型施設など耐久性を求められる床にも使用できる。ノンスリップ効果があり、水回りにも適しているが、ゴム臭があるため注意が必要。

[浴室用コルクタイル]
お風呂の床や壁に、一般の磁器タイルと同じようにセメントで張りつけ、目地を詰めて完成する。水がついても滑らず、カラッとすぐ乾く。古いタイル張りのお風呂のリフォームにはうってつけのオススメ品。

左:浴室用コルクタイルとヒバでつくる木のお風呂
右上:ハーフバスとヒノキを組み合わせた木のお風呂
右下:ハーフバスとヒバを組み合わせた木のお風呂