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ビオプラスの家

(5)屋根の緑化「草屋根」をつくる

エコな草屋根の話をしておきましょう。本当はすべての屋根を草で覆いたいのですが、雪が多い北海道では、建物に負担がかかるためなかなか実現しません。もし、全部覆う場合は、荷重に耐える構造設計をしておかなければなりません。これはソーラーパネルを載せる場合も同じことが言えます。そこで、とりあえずは物置や下屋、ガレージの屋根を草屋根にしてみましょう。

草屋根作り自体は、そう難しいことではありません。1日ワークショップなどでも、簡単にでき上がります。ただし、①しっかり防水すること②根が防水層を突き破らないようにすること③水分を貯える保水層を設けることーなどが大切になります。また、上に載せる土は、パーライトやバーミキュライトなどの軽い保水材を混ぜ、軽量化を図ります。種をまくか、苗を植えるか、迷うところですが、植える植物によっては生育できないこともあるので、プロにアドバイスを受けましょう。

高山植物の仲間、セダム類は海岸や高山の火山レキ質など過酷な環境でも生育できます。僕が、初めて緑化屋根に挑戦したのが、このセダム草です。雪の下では越冬できそうですが、あえて雪の少ない地域で実験しました。実験から10年以上経過していますが、ちゃんと生育しています。屋根の土は、心配していた雑草もまったく生えないほど過酷に乾燥しているのか、セダム草も子孫を増やすことは難しいようで、屋根一面に広がるところまで行きませんでした。

壁面や屋根の緑化は環境への配慮。
夏の日射遮蔽や断熱効果は省エネに貢献し、生態系のバランスをとる。
緑化率の向上は美観ばかりか住み手にとっても静かな住環境を提供する。

草屋根の作り方
簡単な緑化屋根づくりのミニ講座です。物置の屋根などを使って、緑化屋根に挑戦してみましょう。

[材料]
防水シート、防根シート、プラスチックやガルバリウム鋼板製の波型板、土、パーライト(軽石)、玉石(砂利)、緑化用植物(種)

1

最初に防水シートを敷きこみ、その上から植物の根を防ぐ防根シートを重ねる。

2

波板を屋根勾配と水平方向に重ね合わせて並べる。波板の谷が保水層になる。

3

土が流れないように、土留め板(写真はステンレスのLアングル)を取り付け、外周に沿って玉石を並べる。

4

パーライトをむらなく敷きこむ。最低5cmの厚みがほしい。

5

土を最低10は乗せる。あらかじめ、同量以上のパーライトと混ぜ合わせて軽量化を図る。

6

土をトンボ板などで平らにならしてから、苗をきれいに植え込む(または種をまく)。

7

最後に水をたっぷりかけて終了。根付くまでは乾燥に注意して水をやる。