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ビオプラスの家

2エコスタイルの灯りを考える

実際にできる省エネには限界

皆さんは覚えていますか?夏の通勤スタイルを軽装にして冷房エネルギーを削減しようという取り組み、たしかクール・ビズと言っていたような気がする。エコロジースタイルの住まいに求められる照明計画とは何だろうと聞かれたら、「まずは省エネ、そして環境と人の健康や快適な暮らしに及ぼす影響を考えること」などと優等生の答えをすることでしょう。

ただし、実際の現場(家庭など)で具体的にできることは限られてきます。省エネのためにできることは、不必要な照明器具をつけないとか、省エネ型の蛍光灯ランプや今はやりのLED照明を使うようにする、といったところでしょうか。また、環境を考えると、プラスチック素材を使用しないガラスや木・紙でできた照明器具を選ぶ、あるいはスイッチプレートを木やメタル製にします。配線ケーブルには塩化ビニールを使用していない脱塩ビ素材のエコケーブルを使用することなどが、今の僕たちにできる精一杯のことです。

とはいえ、人の健康や快適な暮らしにかかわる照明とは何かを考える時に、ナチュラルなエコスタイルの住まいの灯りが見えてくるようです。

自然に近い環境をつくる

エコハウスのライティング計画は、できるだけ自然に近い環境を創ることです。照明体を隠し、直接電球を見せないようにすることや、光の反射や拡散による変化をつけることも大切です。光には赤、青、緑の原色があります。空気中の水分が太陽光に映し出された虹に見られる光の色彩は、紫から赤まで順に色が(紫・青・緑・黄・赤の順)並んでいます。この可視光線の色の波長を光のスペクトルといいます。

自然の太陽光の色を大きく分けるなら、日中活発に活動するための「青」と、リラックスしてくつろげる朝と夕方の「赤」に分かれます。人工照明は、電球によって光のスペクトルが変わっているため、照明の選択によって光の効果が変わります。適切な照明計画によるストレスのない室内空間は、人の健康と快適性にとっても良い作用があると思います。

白熱灯やハロゲンランプの灯りのスペクトルは、青や緑の光は少なく黄色から赤が多い光源です。投影される色は黄色を映し出して赤外線の熱を放射します。朝と夕方の太陽光と同じスペクトルを持つこの灯りは、居室の夜間照明にとって最適なのです。天井や壁に映し出される暖かな間接光は、開放感と安らぎを与えてくれます。しかし、この白熱灯は将来、省エネ推進のため姿を消すことになりそうです。

蛍光灯やコンパクト型省エネ蛍光ランプの灯りのスペクトルは、赤と黄の光は少なく、緑と青が多い光源です。投影される色は青白く、その冷たさを補うために電球色や昼光色のランプがあります。昼間の太陽光と同じスペクトルを持つこの灯りは、事務所や作業場向きで、本来、居室の夜間照明には向きません。また、省エネ蛍光ランプのスペクトルバランスはさらに悪いのですが、省エネを考えると捨てがたい面もあります。廊下や納戸などの居室以外での使用を考えた方がいいかもしれません。

フルスペクトラルランプの灯りは、限りなく太陽光に近いスペクトルを持つ電球で、トルーライトで知られる直管型蛍光灯タイプとコンパクト蛍光灯タイプがあります。太陽光に近いということは紫外線を放射するということですが、屋外に出られない病人、お年寄りの部屋、あるいは動植物の飼育室など、日中の自然光に近い環境が必要な部屋や昼の作業用照明として利用してみてはどうでしょうか。目に優しい光なので、台所やパソコン、学習机用など、一般家庭でも使えそうです。寿命は一般蛍光灯に比べ数倍長持ちします。

コンパクト蛍光灯タイプのフルスペクトラルランプ

自然石をくり貫いて電球を仕込んだストーンライト

普及する「LEDライト」

最近急激に普及しているのがLED(発光ダイオード)ライトです。エネルギーに変換する照明効率は白熱灯10%、蛍光灯25%に対し、LED32%と最も効率が良いため、消費電力で省エネ効果が期待できます。

現在の電球を交換する際に、LEDライトに取り替えるケースも増えてきました。また照明器具メーカーも、LED仕様の照明器具の開発に力を入れています。他の光源との大きな違いは、紫外線や赤外線を光源に含まない点で、文化財などの保存では色やけを防ぐことができるほか、照射熱も低いという利点があります。