1エコビレッジをつくろう
「循環する暮らし」とは?
循環を感じる暮らしとは、永続可能な未来のために、最終的に土に還すことのできる建築技術と、食料の自給を目指し、その過程で発生する有機物を、大地に還元する仕組みを築くことです。「循環する暮らし」を実践するさまざまな取り組みの中に、僕たちが目指すべきエコなライフスタイルが見えてきます。
1 エコビレッジをつくろう
健康で快適に自然の中で暮らす
団塊の世代を中心に、週末農家を楽しむクラインガルテンやシティーファームが注目される傾向は、ますます増加することが予想されます。皆が集まって楽しむコミュニティーガーデンや、周辺の緑化を進めることにより、自然と暮らす住まいをさらに身近に感じることができるはずです。そんな快適な住環境を求める人たちが、皆で集まって住むまち=エコビレッジは、無駄なコストを削減し、エコなチャレンジをするための投資です。持続可能な住まいと住環境、そして良好なコミュニティー関係を築くことができます。
たとえば、コミュニティーガーデンを皆で共有することで、一家族では実現できない大きなコモンスペースを手に入れることができます。同じ価値観を持った人が集まった菜園では、農薬の心配もない安心安全な作物を手に入れることができます。さらに一つ一つの住宅に、持続可能なエッセンスを加えていくことも大切になります。
エコビレッジは、本来の自然環境をできるだけ壊さないよう設計されていて、そこに生きるたくさんの生物が気持ちよく暮らせる素敵な場所。地球環境を守るための適切な配慮をもち、健康で快適に自然の中で暮らしていける、みんなにやさしい集落「エコビレッジ」を目指します。きっと私たちの身体と精神の健康に良い影響を与えてくれるはずです。
伊達エコビレッジの場合
土地代が高い都市部で成立するコーポラティブ方式も、北海道ではなかなか厳しい状況にあります。特にローカル都市においては、集合住宅であることのメリットが感じられません。僕が仲間と伊達市内で進めているエコビレッジ計画「北の湘南 伊達エコビレッジ」でも、そのことを痛感させられました。
このプロジェクトは、北海道で初めてのエコビレッジ計画として、道南でも温暖な気候が魅力の伊達市館山町に残る眺望豊かな立地を生かして進められています。その昔、アイヌ民族の砦があった小高い丘の上、約3000㎡の土地を共同で購入し、約1000㎡の土地を共同で購入し、約1000㎡に4世帯の自然派住宅を建てる計画です。残りの約2000㎡は自然菜園や緑地などのコモン空間として利用する計画です。当初は4〜6世帯が住む「連棟型」の低層集合住宅をイメージしていましたが、最終的にはそれぞれの戸建4戸が集まった「下町長屋」風のスタイルになりました。
ローカル都市におけるエコビレッジのスタイルは、どこか懐かしい田園風景の中に民家が集まる農村集落が理想のように思えます。住まいの周りに有機菜園空間をデザインして、農的暮らしを存分に楽しむ。できることなら、鶏や動物、ミツバチも飼ってみたい。こんな暮らしを一人で始めるとできなくなるーたとえば時々旅行にでも行きたいけど無理ーと思っていたことが、エコビレッジならば、助けあえる仲間がいます。自然菜園はコミュニケーションを深める格好の場となることは間違いありません。どうです、エコビレッジに住んでみたくなりませんか。