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ビオプラスの家

2パーマカルチャーを取り入れる

持続可能な暮らしのデザイン

「パーマカルチャー」とは、1970年代にオーストラリアで生まれた持続可能な生活環境をつくるデザインシステムのことで、自給自足を目指した菜園や果樹園、家畜の飼育を、住宅の周辺に配置した農的暮らしのスタイルが特徴です。日本に紹介され、広く知られるようになったのは、1993年に、この思想の創設者であるビル・モリソン著の『パーマカルチャー』(農文協刊)が翻訳出版されたことがきっかけです。パーマネント(持続可能)、アグリカルチャー(農業)、カルチャー(文化)をかけ合わせた造語ですが、発祥の地オーストラリアでは、学校教育にも取り入れられるほどメジャーな教育プログラムだ、といいます。

パーマカルチャーは持続可能な有機無農薬の農業を基本とし、水・土・植物などを組み合わせて、地域全体を設計するところに特色があります。地域の気候や特色を生かし、伝統文化を見直すなどの取り組みを、実際の生活の中に取り入れようとする考え方を基に、デザインされています。たとえば、住宅と菜園の配置を考える時には、道具を置く物置や、外での作業スペースを、お互いの中間に配置する。さらに、ダイニングキッチンや土間空間と、ガーデンのつながりを考える。食品貯蔵庫などは、ガーデンの近くにあると便利です。生ごみコンポストでつくった堆肥を畑に返したり、お風呂の残り水を畑にまいたりといった再利用や、循環する暮らしをしやすい環境を造ることが大切なのです。

都会での実践「アーバン・パーマカルチャー」

住まいを中心にした持続可能な暮らしのシステムをデザインし、都会でもパーマカルチャー的暮らしを実践してみようというのが、パーマカルチャーを取り入れた都会暮らし=「アーバン・パーマカルチャー」のテーマです。

本当は、田舎暮らしが理想だが、現実は都会で仕事をしなければならない。そんな人たちでも、パーマカルチャー的暮らしを、都会のど真ん中で実践することができる。まずは、小さくてもいいから畑をつくり、種をまきます。そして、家と小さな畑をつなぐように、関連する仕組みや施設をデザインする。できるだけ、ご近所さんとは畑つながりになるのが理想です。一人の小さな畑がつながることで、そこにはちょっとした都市菜園ができ上がります。黙っていたら、無機質な建物が並んでしまう町並みが、命を感じる小さなオアシスを持ち、循環を感じる暮らしの中で、自然とのつながりを持つことができるはずです。ご近所みんなで、ガレージや物置の屋根を緑化すると、町並みが一変することでしょう。

パーマカルチャーの創設者のひとりであるデビット・ホルムグレンが言うように、パーマカルチャーが主張する変革が、裏庭や家を基点に地域社会、世界、地球、宇宙へと広がっていくとするならば、僕たちが今できることが見えてくるはずです。家を建て、その土地に暮らすことで、自然の一部にとけ込むような暮らし方ができるなら、なんてすばらしいことでしょう。エネルギーと水の消費ついて、資源とゴミについて、リユースやリサイクルについて、普段の生活の中で循環を感じられる環境を子供たちに残してあげたいと思うのです。