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2011年01月28日

『農を楽しむ』西條さんの菜園便り 19

北海道新聞 朝刊連載 平成23年 1月27日掲載
『月と畑』
僕が丘珠有機農園の仲間入りをする以前の話ですが、家や家具を作る良い木材は、山から木を収穫する時期によって決まる、という話をTVで見ました。
「新月の木」を初めて知った時です。その数年後、偶然その話の舞台となったオーストリアの山奥にある製材工場、トーマ社を訪ねる機会に巡り合い、さらに月と植物との関係に興味を持つことになりました。
簡単に説明すると、冬の新月の間に山から切り出した木材はカビない、狂わない、長持ちする、虫に食われないなど、質の良い木材になると言う話なのです。科学的根拠はないらしいですが、建築デザインの仕事をする僕にとっては、とても興味のある話でした。
月齢の月の満ち欠けに応じて、海面の潮の大きな満ち引きの関係と同じように、土中の水分と養分も、地表に向かって上下します。当然土に根を張る植物は、この影響を受け、約29,5日周期で水分と養分を吸収しているのです。 新月の頃は、土中の水分が下がる時期で、この時期に伐採した木材は水分が少なく、虫食いやカビの原因になる養分も少ないと言われています。信じがたい話ではありますが、日本の古い言い伝えでも、木には切旬があると言われているようですし、中南米の農民の間でも、月と植物の関係は言い伝えられていたようです。同じ理由で、畑の野菜達も月の影響を受けていることになります。
そんなわけで、僕が菜園生活を楽しむことになった最初のシーズン、作付けプランを書き込むために用意した手帳のカレンダー欄に、月の満ち欠けを書き込みました。
満月の頃は水分・養分が上昇するので、数日前に種まきをすると、発芽や成長が良いらしい。逆に新月の頃の種まきは良くないが、種を採取するのには適している。
葉菜や根菜でも収穫適期は違っているし、厳密に言うと、食べるために収穫する時期と、
保存のために収穫する時期は違うとか…ずいぶん面白いことが他にもたくさんあることを知りました。そんなことを書き込んだカレンダーは、複雑でぱっと見て分かりづらく、毎年書き込むのは大変…。 そんな思いで僕が製作した菜園カレンダーとノートには、月と菜園作業の関係を分かりやすくまとめてあります。
ただ実践してみると、早朝と週末頼みの家庭菜園では、お天気の影響や他の予定で、なかなか暦通りには作業は進みません。でも僕が言えることは、この年になって、夜、月をながめるのがとても楽しくなったこと。そして畑作業をする時に、その日のお月さんを恨めしく思う日もあること…。
月と菜園の関係が分かると、菜園生活がまた楽しいものになりますよ。

カレンダー1月.jpg

菜園カレンダーは月齢にあわせた畑作業を分かりやすくまとめました。
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集材.jpg

集めた木は集積場で切りそろえ、天然乾燥のため貯木場へ移動します。

伐採2.jpg

2月の新月に伐採したトドマツの木。幹を残し春まで
葉枯し乾燥させ雪解け前の早春に枝を払い集材しました。

2011年01月16日

「農を楽しむ」西條さんの菜園便り⑱

北海道新聞朝刊連載 平成23年1月13日 掲載コラム
「冬の畑・スプラウト編」
この季節、菜園生活の楽しみは、春に向けた作付けプランを考えることですが、今年は冬の間でも楽しめる、室内栽培に挑戦しています。
まずは、昨年の秋に鉢上げしておいたパセリやルッコラなどです。毎年玄関先に置かれ、冬の間も少しずつ収穫し、我が家の料理に彩りを添えてくれる野菜達ですが、晩秋まで畑で元気な野菜やハーブは、そのまま冬の室内で育てることが出来るようです。更にこの冬は、手軽で短期間に収穫できるスプラウト栽培を始めてみました。
スプラウトとは、モヤシやカイワレダイコンでおなじみの、植物が発芽した新芽野菜のことですが、最近は、ビタミンやミネラルなど栄養が豊富な健康野菜として、いろいろな品種が栽培されているようです。
スプラウト栽培は、家庭にある物をリサイクルして、手軽に始められるところが良いと思います。
僕が準備したのは、果物のプラスチックトレー・梱包材のプチプチシート・ガーゼ・クッキングペーパーなどです。ブロッコリー・そば・レッドキャベツ・ミツバ・空心菜など数種類の種を取り寄せました。当然のことですが、新芽を食べるので、農薬を使っていない専用の種を購入しなければいけません。
僕が実践した栽培法を簡単に説明すると、まずプラスチックトレーの底の大きさに合わせて、プチプチシートを切ります。一皿に3~4枚くらいでしょうか、凸面を上にして並べます。その上にガーゼ(クッキングペーパー)を3~4枚、プチプチシートを巻き込むようにカットして敷き込みました。
次に、表面が浸る程度に水を入れ、前の晩から水につけておいた種を、重ならないようにびっしり並べます。2~3日で芽が出るので、水を切らさないようにし、芽が伸びるまでは、新聞紙などをかけて暗いところで育てます。5㎝位になったら、お日様の当たるところに出して緑化させますが、早く日に当てると伸びが止まるのでタイミングを計ります。水は、毎日交換しながら育て、10日ほどで食べられるようになります。収穫はハサミで切り取りながら、サラダでいただきました。
今シーズンは、スプラウト栽培用に、種を多めに採取しようと思っています。
取り残して棟立ちしてしまった葉物野菜は、「塔立ち菜」として食べられることを昨年知りましたが、残ったものはそのままにして花を楽しみ、最後に種を取っても良いでしょうね。
春からの菜園暮らしの楽しみが、また増えてしまいました。
雪に閉ざされた冬の北海道でも、工夫次第で、冬ならではの栽培を楽しむことが出来そうです。
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鉢上げ野菜:右からルッコラ・パセリ・イタリアンパセリ
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食べごろのスプラウト:ブロッコリー・ミツバと専用の種