ブログ|札幌市の注文住宅や新築一戸建住宅の見学会やエコなイベント情報

2010年08月30日

北海道新聞連載⑨

北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年8月26日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑨「畑の多様性」
 この夏、僕の畑で最も順調に育っている作物といえば、ナスとピーマンです。雨の好きな野菜だからでしょうか?雨の多い今シーズン一番の元気印です。
 不耕起栽培用の90cm×3mの高ウネの植え床「レイズドベッド」2畝に、10株ほど植えました。と言っても、植えているのはナスだけではありません。まずユリ科のチャイブを、畝の縁取りに移植しました。更にセリ科のパセリ、キク科のカモミール、ムラサキ科のポリジなど多年草や、こぼれ種から自生えしたハーブ類を、畝の両端に移植しました。ピーマンとシシトウも、となりの畝で同様に栽培しています。ナスやピーマンの苗を植え込む頃には、チャイブやカモミールは花を咲かせ始め、更に夏に近づくと、ポリジが花を咲かせるといった具合です。でも「欲ばりな畑」が自慢の僕です。ナスやピーマンの株間に、つるなし種のスナックエンドウの苗を植えました。
成長して、ナスにつるが上手く絡むと良いなと思ったのです。結果は、エンドウの成長が早く、結局竹の支柱をたてる破目になりました。タイミングを計って、種まきをした方が良かったのかもしれませんね。エンドウの収穫が落ち着く頃、ナスの収穫が最盛期となりました。実は、昨シーズンは種まきをして、苗を作り、定植の際には、根の先端を切り込んでから植えるスパルタ栽培に挑戦したのですが、見事に惨敗。そこで、今年は苗を買い、春先にパオパオのトンネルで風と寒さ対策をし、自家製ぼかし肥料の追肥なども怠らないで、育てたところ、豊作となりました。
 ナス科の栽培は4~5年おきに栽培するのが常識で、連作はタブーと言われていますが、来シーズンはあえてナスの連作栽培に挑戦しようかと思っています。相性のよい植物を中心に多様な作物を混植することで、連作障害を緩和できれば、限られた場所の家庭菜園でも毎年楽しむことが出来ると思います。
 建築デザイナーの僕が、目標にしている畑作りのテーマは、住宅街の中でも映える、素敵なキッチンガーデンをつくることなのです。野菜や花が、整然と綺麗に並べられた、かわいらしいキッチンガーデンも良いですが、僕の場合は、多様な植物が、ランダムに咲き乱れる、イングリッシュガーデンのような菜園がイメージです。野菜が主役の菜園に、いつも何処かで花が咲き続けている。ハーブ類を混植することで、コンパニオンプランツ(共栄植物)として作物を害虫から守り、成長を助けるだけではなく、緑に彩りを添える役割もあり、畑がより楽しい場所になること請け合いですよ。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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チャイブの縁取りとハーブでにぎやかなナス科用の植え床
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ナス科作物(シシトウ)の間に生育を助け合うマメ科作物(エンドウ)を混植
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夏野菜:僕の畑で今元気印の野菜たち

2010年08月30日

北海道新聞連載⑧

北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年8月12日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑧「収穫日和」
 6月の好天とはうって変わり、曇り空が続いた7月でしたが、野菜たちはすくすく育ち、収穫する作物が増え、畑へ行くのが楽しみな季節になりました。
 僕の畑では、ズッキーニの収穫が最盛期です。ズッキーニは有機菜園を始めた時から欠かせない野菜です。その理由は、おいしくて低カロリー。おまけに、焼く、揚げる、煮る、漬けるなど、和食、洋食どちらの料理にも合う万能野菜だからです。
 今年は、少しでも早く収穫したいと思い、4月には苗作りを始めたのですが、結局、苗を定植したものも、種を直まきして育てたものも、どちらもさほど変わらずに育っています。ウリ科野菜は直まきで元気で丈夫に育ちますね。
 ズッキーニの苗の根の周りには、ワラが敷かれていて、生えてきた雑草も刈り取りながら敷きこむ「草マルチ」のベッドで栽培します。草マルチには、乾燥や泥ハネ、実が痛むのを防ぐ役割があります。
 気温の低い北海道では、春先、地温を上げるためにビニールで土を覆う「マルチング」が常識となっていますが、僕は、農薬や化学肥料を使わない自然農園で、化学素材を使うことに抵抗があり、草マルチを続けています。これは僕の仕事の影響でもあります。自然素材にこだわった、「化学物質を使用せずに有機野菜のような家」をデザインすることが、僕の仕事なのです。
 さて、いま収穫しているズッキーニは、味が自慢でしましま模様が特徴のイタリア伝統の品種と、日本でもおなじみの濃い緑色の品種の2つです。
 霜が降りるころまで収穫は続きますが、その中から、元気に育つ大きな実を一つ選び、完熟し、硬くなるまで残しておいて、秋になったら自家採種します。これが、来年用の種になります。
 またこの時期は、ユリ科の野菜のタネ球を収穫する季節でもあります。農作業は月の満ち欠けと関係が深く、満月の前後1週間ほどが、保存用の根菜類の収穫に適していて、すぐに食べる根菜類の収穫は、新月の前後1週間ほどが適していると言う説があります。
7月は、26日が満月でした。 僕もこの時期に合わせて、ニンニクと、島ラッキョウを収穫しました。また、アサツキやワケギのタネ球も一緒に掘りあげて、9月の植え込みまでしばらく保存します。
 とは言え、雨が続くと、収穫の時期にも影響するので、暦どおりにはいきません。自然はこちらの都合に合わせてはくれませんが、「月をながめた畑仕事」をしていると、地球や自然が身近に感じられ、大地とつながったような心地よさを感じます。
 札幌・丘珠にある僕たちの有機農園の仲間たちが作った有機野菜の一部は、平日午前10時半~午後3時、「㈱HAVE札幌市場」(札幌市東区北34東21)で販売しています。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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10株植えたズッキーニを収穫。
混植したトウモロコシは種まきが遅すぎて生育不良。
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収穫した2種のズッキーニと
ニンニク、ラッキョウ。

2010年08月30日

北海道新聞連載⑦

北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年7月22日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑦「ポリジとコンフリー」
 雨の日が続くと、作物と一緒に雑草たちもぐんぐん成長します。そんな雑草たちにまぎれて、僕の畑のあちらこちらで繁殖している植物が、いくつかあります。こぼれ種から勝手によく育つ、一年草のハーブたち。白い花のジャーマンカモミール、紫色の花のポリジ、黄色い花のディル。どのハーブも野菜との相性が良いので、僕の畑では自生のままにしたり、移植したり、時には種を取ってまいたりして、いたる所で花を咲かせます。
 そんな一年草のハーブの中でも、特にものすごい繁殖力を発揮するのが、ムラサキ科のポリジです。星形でかれんな紫色の花びらには、いつもハチが群れていて、「受粉昆虫を呼び寄せるため、実のなる作物のそばに植えておくと良い」と言われているコンパニオンプランツ(共栄植物)の仲間です。
 僕の畑では、イチゴ、トマト、ナス、ピーマン、ズッキーニ、ジャガイモなどのそばで、花を咲かせています。このポリジは、全身に毛が生えてイガイガしているのに、食べることが出来ます。
 僕は、春に若葉を天ぷらにして食べました。肉厚の葉は、香ばしい味わいで、なかなか美味。また、薬草としても効果があるといわれていますが、カルシウムやカリウムといったミネラル分を多く含むため、緑肥としての効果も期待できそうです。大きく育った順に収穫し、土や米ぬかと一緒に積み上げ発酵させ、ボカシ肥料作りに挑戦しようと思っています。
 そして、最も楽しみにしているのが、同じムラサキ科で多年草のコンフリーです。野草化し、道内でもいたる所で自生しています。春先からみるみる成長し、つり鐘状に咲く紫の花には、ポリジと同じようにハチが群れています。
 このハーブもミネラル分がとても多く、緑肥や液体肥料として利用できます。僕は有機液肥を作るため、昨年から育て始めました。7月初旬、花が終わったコンフリーを収穫。大ざっぱに刻み、樽に詰めこんで、水を注ぎ、れんがで重しをして漬け込みました。待ちに待った初仕込みです。
 1週間ほどすると、繊維が溶け出し、水が茶色くなり始め、これが真っ黒になると、有機液体肥料の完成です。出来上がった液肥は、水で薄めて、作物の水やりと一緒に利用し、野菜たちのミネラル補給になります。
 根を残して刈り取ったコンフリーの株からは、すぐに新しい葉が伸び始めています。1年に3回ほどは、繰り返し収穫できるといいます。また、株分けをして、簡単に増やすことも出来ます。耐寒性もあり、生育にまったく手がかからないので、僕の有機菜園には欠かせないパートナーになってくれそうです。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
①ジャガイモ畑の中でも負けずに育ち、紫色のかれんな花を咲かせるポリジ
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②コンフリーは漬物樽に入れ、れんがで重しをして漬け込む
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2010年08月03日

北海道新聞連載⑥

北海道新聞 平成22年7月8日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑥「イチゴとニンニク」
 札幌・丘珠にある僕の畑では、葉物野菜を中心に収穫が始まっています。これからが、自家製有機野菜が並ぶ、豊かな食卓の始まりでもあります。
 たくさん作り過ぎた野菜があると、時には罰ゲームのように、大量の野菜を食べなければなりません。僕の菜園ノートには、昨年の反省が書かれていて「種は少しずつ、時期をずらしてまく」とあります。それなのに、ついつい作り過ぎてしまい、また反省です。
 先日は、ニンニクの芽とイチゴの収穫を楽しみました。ニンニクを作り始めて、今年で3年目になります。後志管内余市町の有機農家さんから分けていただいたニンニクの種を受け継ぎ、自家採種の無農薬栽培で、ほぼ1年分の量を作ります。
 ニンニクは、連作の障害も無く栽培できるので、夏の収穫が終わり、秋の種の植え付け作業の際には、同じ苗床を使い、側にイチゴを移植しています。成長したニンニクの芽を摘む時期と、イチゴの収穫がちょうど重なり、除草と追肥をしながら収穫が出来るので、作業効率が良いようです。
 イチゴは、昨年植えたイチゴ苗が増え、春先数カ所に移植したものですが、順調に育ってくれました。イチゴ専用畑には、チャイブやワケギをコンパニオンプランツ(共存植物)として一緒に植えています。苗の周りには木炭を敷き、ワラのマルチをしてありますが、すき間からでてくる雑草を取りつつ、イチゴの収穫をするといった、得意の「ズボラ菜園」を実践中です。
 イチゴと混植したニンニクやネギ類の根から出る成分が、イチゴの病気を抑える効果があり、また、臭いを嫌う害虫の防止にもなるようです。
 性格も使い方も違う作物が、夫婦のように助け合って、畑の環境を整えているのは、とても面白いことです。作物の混植の組み合わせには、このような作業性を考慮することも、大切なのだと気付かされますが、僕が習得するには、まだまだ時間がかかりそうです。
 昨年収穫したニンニクは、冷暗室で保存していても、春になると芽が出てしまいます。食べられなくなったニンニクは、トマトなど他の作物のコンパニオンプランツとして、脇などに植えたりして使っていますが、今年は来春に向けて良い保存法を勉強しようと思います。
 今年のように暑い日が続くと、ニンニクの芽を食べて元気をもらい、菜園作業もがんばりたいです。また、無農薬有機栽培で育ち、安心でしっかりしたイチゴの味は、格別ですね。来年は、さらに子苗をふやして、保存用のジャム作りにも挑戦したいと思っています。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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チャイブやワケギと一緒に移植したイチゴ畑。
ディルやポリジなど自生したハーブも混色しています。
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ニンニク(奥の丈の高い葉)の苗床に植えたイチゴです。

2010年08月03日

北海道新聞連載⑤

北海道新聞 平成22年6月24日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑤「トマト」
 6月に入って以来、札幌では毎週末、好天が続き、快適な菜園日和を迎えています。雨の多かった昨年とは大違いで、週末ファーマーにとっては農作業も順調にはかどり、うれしいことです。僕たちの有機農園でも、仲間たちが野菜の苗植え作業を楽しんでいます。
 僕はというと、果菜類の苗の定植作業を進めています。4月から家の中で苗作りを始め、5月には外のベランダガーデンまでも占領していたトマト、ナス、ピーマン、シシトウ、ズッキーニなどの苗が中心です。
 ナス以外の野菜は、自然農法やオーガニック栽培の種を買い集めたもの。昨年は室内だけで苗を育てたためか、ヒョロヒョロの苗になってしまいました。そのため今年は、外で小さな簡易ビニール温室を使い、ミミズコンポストの液肥を時々与えて栽培してみると、トマトの苗などしっかり育ってくれました。
 今年のトマト栽培は、木枠で囲った植え床を2本使い、混植の実験に挑戦します。トマトと相性が良いとされる野菜やハーブはたくさんありますが、果たして「何が最も相性が良いのか」「どの組み合わせだとおいしくなるのか」を試してみることにしたのです。
 栽培するトマトの種類は、種から苗作りした大玉トマトが1種類とミニトマトが2種類、調理用のイタリアントマトが1種類の合計4種類。それに、苗を作っている農家から頂いたトマトが数種類加わりました。
 1本の植え床には、トマトと一緒に、ユリ科のネギ類を数種類と、ニンニク、長ネギ、チャイブなどを混植しました。そして、もう1本には、イタリアンパセリ、レモンバーム、バジルなどのハーブとの混植です。ネギ対ハーブ。さて、どちらの混植が、元気でおいしいトマトを育てることになるでしょうか。収穫の時が、今から楽しみです。
 昨年のトマト栽培は、日照不足のせいか、成果はいまひとつで、保存用のトマトもあまり作れませんでした。しかし、豊作だった一昨年は、イタリアントマトは煮込んでトマトソースを作り、ミニトマトはレンジで乾燥させた、セミドライトマトにしてみました。おかげで、冬の間も自家製トマトのパスタやミネストローネをたくさん作り、春先まで楽しむことができました。
 夏の間はフレッシュな野菜を、冬は保存した野菜を味わう。同じトマトを食べていても、季節を感じて、冬には冬の野菜の味わいがあるのだ、と改めて気づかされます。
 このように、トマト栽培は、収穫後の楽しみも盛りだくさんです。今後も、天候に恵まれて、保存用のトマトがたくさん収穫できれば、と思っています。
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トマトと混植したワケギ
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ねぎVSハーブ!!
どちらの混植がトマトを美味しく育てるか楽しみ!

2010年08月03日

北海道新聞連載④

北海道新聞 平成22年6月10日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ④「種豆まき」
 僕たちの有機菜園がある札幌・丘珠でも、ようやくカッコウの鳴き声が聞かれるようになりました。いよいよ本格的な農作業の「ゴーサイン」です。
 今、仲間たちの種まき作業のメーンは、大豆(枝豆)です。僕も昨年、自家製の無農薬・有機みそをつくろうと、大豆作りにチャレンジしました。
 畑仲間のTさんが毎年冬、「サッポロさとらんど」で開いている「自家製手づくりみそ教室」がきっかけです。毎年、教室への参加を誘われていた僕は、「みそをつくるなら、まずは自家製大豆作りからだ」と、夢と欲を膨らませ、自家製みそ用の大豆作りを始めたのです。
 一昨年までは、枝豆として食べる分だけの大豆を作り、特に問題も無く収穫していました。しかし昨年は、自家製みそ用の大豆作りのため畑の面積を広げ、種をまきっぱなしにしたせいか、さっぱり芽が出ません。どうやら、まいた種が、完全にハトの餌食になってしまったようです。
 他の仲間たちは、種をまいた後、畑に不織布をベタかけしたりして、ばっちり鳥害対策をしていたようです。
 しかし僕は、冷夏のせいもあって、被害に気付くのがすっかり遅れたうえ、その後のケアも後手後手になり、種豆をまき直した時には既に時遅し。予定の3分の1も収穫出来ずに見事に惨敗。結局、いつものように、枝豆として晩酌のお供にする程度の収穫量に終わったのでした。
 そんなこともあり、みその原料は有機農家さんに任せることにして、今年の大豆作りは無理をせずに、一昨年までと同じペットボトルを使った枝豆(茶豆)栽培にしました。
 種豆を3粒ほど並べて土をかけた後、底をカッターナイフで切り取ったペットボトルをかぶせます。この方法だとハトに食べられることもありません。また朝方、気温が上がってくると、ボトルの内部が結露して水分を集める役割もあり、ある程度成長するまでは丘珠名物の強風からも守ってくれるのです。
 この方法でうまく栽培して、来年の種豆を自家採取できるくらいには、収穫したいと思っています。
 一方、枝豆のコンパニオンプランツ(共栄植物)として、マメ科と相性が良いとされるトウモロコシ(イネ科)や、ディル(セリ科)などのハーブを、同じ畝に一緒に種まき・混植しました。
 線香花火のような花を咲かせるディルは、サーモン料理との相性が抜群です。フレッシュな葉だけではなく、種子を乾燥させて、ピクルスやドレッシングなどに使うと、一年中草原の香りを楽しめます。残った種子は、翌年、畑にまきます。
 今年のビールのおつまみは、有機栽培の枝豆と夏野菜のピクルスで決まりー。今から夏の収穫が楽しみです。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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枝豆の種まき中。種豆に土をかけた後、底を切り取ったペットボトルをかぶせていく。
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これで、鳥、風対策万全。

2010年08月03日

北海道新聞連載③

北海道新聞 平成22年5月27日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ③「植え付け」
札幌・丘珠にある僕たちの有機農園でも、5月半ばには、畑の土起こしが進み、みんな楽しい種まきの準備が整ってきたようです。
 毎年、畑の植え付けは、ジャガイモとタマネギから始まります。月暦(陰暦)によると、土の中で育つ野菜(根菜類など)は、満月から月半ばの新月までに植えると良い、とされています。
 しかし、天候や土の状態にも影響され、月暦カレンダーにそった作業は、そうそううまくは行きません。今年、僕が植え床を作り終え、ジャガイモを植え付けた時には、新月の2日過ぎになってしまいました。
 昨年は、残っていた自家製の小イモをそのまま種イモにしました。堆肥と少量の油かすを元肥にして、追肥なしで育てたせいか、生育はイマイチでした。そのかわり流行のウイルス被害にもあわず、出来たジャガイモを、すべて完食することができました。
 市販の種イモを使った一昨年は、半数がウイルスにやられてしまったのに、です。生き残ったイモに免疫があったわけではないでしょうが、出来て見なければわからないのもまた、野菜作りの楽しみの一つです。
 今年のジャガイモの定植に当たっては、同じ植え床に、マリーゴールドとポリジをコンパニオンプランツ(共栄植物)として混植してみました。
 マリーゴールドは、どんな植物にでも合うオールマイティーなコンパニオンプランツのエースです。特に、ジャガイモなどの根菜類と混植すると、天敵である線虫などの害虫を防ぐ効果がある、とされています。
 また、茶色と緑色だけの畑に、手軽に彩りを添えてくれるので、畑が楽しくなります。種まきから始めると、晩秋の霜が降りるころまで、花を咲かせています。種は、自家採取でたっぷり取れるので、毎年、畑中に思いっきり利用しても使い切れません。
 一方、タマネギの植え床には、カモミールとクリムソンクローバーを混植しました。弱った野菜を元気にするといわれるキク科のカモミールは、かれんな花を咲かせ、収穫して乾燥させると自家製ハーブティーが作れます。リンゴのような香りは気分を和らげ、安眠効果もあるので、わが家の夜のティータイムには欠かせません。
 また、赤いイチゴのような花を咲かせるクリムソンクローバーは、タマネギの害虫をおびき寄せ、おとりになる効果があります。カモミールと一緒に切り花にしてグラスなどに添えると、とてもかわいらしいです。
畑の空間をうまく使って植物を仲良く混植すると、作物の生育を助けるばかりでなく、僕たちの生活を豊かにしてくれる相乗効果もあるのです。特に今年は、友人から札幌の伝統品種でとても珍しいタマネギ「札幌黄」の苗を少しもらって、一緒に植えました。上手く出来るか、楽しみがもう一つ増えました。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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ジャガイモの種芋を植え付ける友人親子。
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タマネギとカモミールの苗は、仲良く混植。

2010年08月03日

北海道新聞連載②

北海道新聞 平成22年5月13日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ②「植え床づくり」
 菜園作業の第一歩は土づくりからです。
 僕たちの有機農園がある札幌・丘珠の土地は粘土質で水はけが悪く、雨が長く降ると水がたまり、なかなか抜けません。逆に、天気の良い日が続けば、ガチガチに固まって、コンクリートのようになってしまいます。本来、しっかりと耕さなければ、畑にならないような土地なのです。
 このため僕は、地面の上を木板で囲って土を盛った「植え床」を作っています。「レイズベッド」と呼ばれる高い植え床です。植える植物や、ベースとなる地面の状況によって高さを変える必要があるのでしょうが、ありあわせの板を使用したので、高さ10センチほどの低いウネです。
 この中に、堆肥、有機肥料、有機石灰などと一緒に、細かく砕いた使用済みの調湿炭を土壌改良剤として土に入れています。1平方メートルに1袋(5キロ)ほどの量です。植え床の中の土は、木枠のおかげで雨が降っても流れ出すことはありません。水はけが良くて、やわらかく、生きた良い土になってきました。
 この方法だと、毎年の土起しや畝たてが不要になるので、面倒くさがり屋の僕には向いていると思っています。何よりも畑の準備が楽なので、種まきがすぐに出来るところが家庭菜園向きです。
 植え床の枠になる材料は決まっているわけではありません。ゴロゴロと畑から出てきた石、余ったれんがや木板、拾ってきた木の枝、古い枕木など、調達しやすい物を利用すれば良いと思います。
 ゴールデンウイーク中、僕は、植え床に自家製堆肥と油カスを入れながら種まきの準備と、チャイブ、ワケギなどのネギ類やレモンバーム、カモマイル、パセリなどのハーブ類を移植・株分けしました。月暦(陰暦)では満月の後のこの時期が、移植・株分けに最適とされているのです。
 一方、農園の通路に、ワラやカンナクズなどを敷きつめました。除草剤や、ビニールの防草シートを使わずにできる、雑草の生えない通路づくりです。
 防草シートの代わりに、水でぬらした新聞紙や段ボールを敷きつめて、その上にワラやカンナクズなどを載せ、水をまいて踏み固めると出来上がりです。これで、雑草取りの手間が省けます。また、雨が降ってもぬからずに収穫作業できるので、とても快適です。
 3~4年後には木くずも分解され、土に戻すことができるようになります。菜園では、自然の素材で、最終的に分解され、土にかえるものをうまく使って、畑の環境を守って行きたいと思います。
 さて今年は、レイズベッドの畑をもう少し増やせるように、がんばるつもりです。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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種まきや移植の準備が整った、今年で3年目の植え床<レイズベッド>です。
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植え床には、堆肥のほか、土壌改良材として炭を入れます。

2010年08月03日

北海道新聞連載①

北海道新聞 平成22年4月22日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ①循環する暮らし
 近年、家庭菜園がブームになっています。僕も友人を道連れに菜園生活の仲間入りをして今春で4年目。現在、札幌市東区にある農地約1ヘクタールを借り、9組の家族(グループ)で共同運営しています。
 僕たちの農園では、それぞれが自由に耕作する菜園作業のほか、毎月1回の共同作業日(自主参加)を設け、周辺の草刈り、堆肥用の落ち葉集めなどを行います。また、トラクターや耕運機は共同利用し、燃料代なども会費でまかないます。
 グループには特に決まりはないけれど、無農薬、無化学肥料、除草剤も使わない有機栽培が信条。自分で栽培した安心野菜が並ぶ食卓は、健康的な暮らしには欠かせないもので、恥ずかしながら、「豊かな暮らしとはこういうことなのか」と、人生半ばにして感じています。同時に、同じ考えを持つ人たちが、無理せず協力し合うことで、菜園生活をより楽しめる、ということも実感しています。
 僕たちの農園では、毎年4月、ごみ拾いで畑開き。菜園仕事は土起しで始まります。
 この際、堆肥や有機肥料をすき込むのですが、化学肥料を使わない有機農法には、肥料自体を一切使わない方法や、畑を耕さない方法などもあるので、各自がそれぞれのやり方を選び、実験気取りで楽しんでいます。
 僕は昨年、鶏ふんや牛ふんなどの動物性の肥料は使わずに、米ぬかや油かすの植物性肥料のみを、ほんの少しだけ使って、野菜作りに挑戦しました。タマネギ・ジャガイモ・ニンニクといった根菜類から果菜、葉菜、ハーブなど約80種類の作物を栽培してみました。
 結果的に、育ちがいまひとつの作物もありましたが、これが気候のせいなのか、肥料のせいなのか、未熟な私には判断できません。でも、今年もこりずに、再度、チャレンジしてみるつもりです。
 さらに、今シーズンは強い味方が加わります。冬の間中、僕の会社の事務所の片隅に置いておいたコンポスト容器の中で、コーヒーやお茶葉、野菜くずを、ミミズたちがせっせと食べて作り出した貴重な堆肥と液肥です。
 また、昨年秋に、山から集めて来て積み上げておいた落ち葉堆肥、近所の田んぼで集めてきた稲ワラ、米屋さんの米ぬか、わが家のまきストーブの木灰なども使う予定です。
 僕は、自分の身近にある資源を生かした野菜作りを心がけることで、循環する暮らしを実感できるようになった気がします。僕たちが食べたものが分解され(堆肥などの肥料)、栄養(作物)として戻ってくるのです。
 連休前には、いよいよ土起こし。今年もまた、楽しい季節がやってきました。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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昨年、有機農法で栽培した作物
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翌年の耕作に備えて堆肥を積み込む仲間たち(昨年末)

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「西條さんの菜園だより」は、毎月第2・4木曜日北海道新聞に掲載されます。