北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年12月23日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑰「畑の記録」
今年1年間楽しんだ菜園生活を、振り返ってみました。
今年の最大のテーマは、様々なコンパニオンプランツ(共栄植物)を組み合わせた栽培法に挑戦することでした。植物を組み合わせることで、病気や虫の被害を防いだり、作物の生育や味が良くなったりするのかを、試しました。
肝心の作物の成果はというと、まずタマネギとカモミールの混植は、カモミールの成長が良過ぎて、タマネギが日陰になってしまい、生育不足で失敗。その代わりに、豊作のカモミールから、お茶用の花がたくさん収穫できました。
西洋ネギのチャイブを縁取りにして栽培したナスとピーマンは、今までにないくらい良く育ち、晩秋まで収穫を楽しみました。
また、トマトの味が変わるのか、ネギとトマトの混植対ハーブとトマトの混植の味比べは、残念ながらどちらもあまり違いは感じられませんでしたが、大きな問題もなく収穫できたことが何よりでした。
他にもいろいろ試し、混植による効果を期待したのですが、そう簡単に目に見えるような結果が出ないのかもしれません。しかし、畑がたくさんのハーブや野菜でにぎやかになり、多様な植生と、小さな生き物たちが混生する僕の菜園生活は、心と体が癒やされ、豊かな食卓と暮らしを感じるとても良い1年だったと思います。
昆虫による受粉を促す効果のあるハーブのポリジを、カボチャなど実のなる作物と混植したところ、明らかに良い成果が見られた、と畑の仲間たちが話していました。
さて来シーズンに向けて、冬の間の楽しみは、春からの植え付けプランを考えることです。このとき頼りになるのは畑の記録です。何処に何を植えたのか、さらに数年前にさかのぼって記録されていると、とても助かります。作物には、続けて同じ場所で栽培すると、連作障害を起こしてしまうものもあります。記憶力にめっぽう自信がなく、農作業の経験も未熟な自分のために作った菜園記録手帳が「菜園NOTE」です。
野菜作りを始めて、必要な情報を書き留めたりしていましたが、畑を続けてゆくためには、記録も残さなければと思い、使いやすい菜園用の手帳をいろいろ探したのだけれど、無い・・・無かったのです。
現場(畑)で困ったときに役立つ情報、作物の栽培方法や混植の組合せが分かる情報がついた小さな手帳があると良いのに・・・。実はそんな思いで作った「菜園NOTE」がきっかけでコラムを書くことになりました。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
2009年から発売を開始した菜園ノートは今年で3年目。内容も益々充実して大人気です。
昨年からはご要望にお応えして、カレンダーも登場!
ノートとカレンダーで、菜園生活をお楽しみください。
お求めは、当社サイト、書店、amazon.co.jpにて。
2010年12月27日
北海道新聞連載⑰
2010年12月14日
北海道新聞連載⑯
北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年12月9日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑯「トマトの保存」
畑はすっかり雪化粧、楽しかった菜園生活もしばらくお休みです。
我が家の冬の食卓では、あまりお目にかからなくなる野菜があります。夏から秋にかけて、食卓のテーブルの常連だったトマトです。
スーパーへ行くと、いつでも並んでいるにもかかわらず、冬の間はめったに買って食べることがありません。夏の日差しをあびて育った、まるで太陽のような野菜だからでしょうか。
季節に関係なく、いつでも、どこのものでも手に入る時代ですが、それはそれで、うれしいような寂しいような複雑な気分になります。
そんな我が家の冬の楽しみは、たくさん収穫したトマトを保存して、少しずついただくことです。
野菜作りを始めるまでは、たくさん買い込んでいたホールトマトの缶詰が、すっかり姿を消しました。 昨年までは調理用のイタリアントマトでトマトソースを作り、小分けにして冷凍保存していましたが、今年は初めて、トマトソースの瓶詰めに挑戦しました。
まず、大きめのずんどう鍋にお湯を沸かし、瓶とふたを沈め煮沸消毒します。同時に隣の鍋で、ざく切りにしたサンマルツアーノ(自家製の有機トマト)に、少量の塩を加えてオリーブオイルと一緒に煮込みます。以前は、ニンニクやハーブなどを加えていましたが、結局調理のときに味付けするので、今年は余計なものを入れずにシンプルにしました。
トマトを煮込み終えたら、煮沸し終えた瓶に詰め、すぐに蓋をしてずんどう鍋に戻します。このとき、ふたは一旦きっちり閉めた後、少し緩めます。こうすることで、瓶の中の空気が抜けて密閉状態になります。約20分間、煮沸した後、取り出した瓶のふたをきっちり閉めなおし、瓶を逆さまにして置き冷まします。すっかり熱が冷めたら、日付のラベルを貼って完成です。
今年は400mℓの瓶を12本作りました。冬の間、パスタソースやミネストローネなどにしていただくことになります。
一方、ミニトマトは、ドライトマトにして保存します。半分に切って種を取り、オーブンで乾燥させます。小まめに水気を取りながらゆっくり乾燥させるので、ちょっと面倒でしたが、ドライトマトは、凝縮された味が格別です。正確には半なまドライトマトですが、半分は密閉袋に入れ冷凍保存、残りはオリーブオイル漬けにしました。
ドライトマトの乾燥は、本州では天日干しができるのでしょうが、北海道の路地栽培では、完熟する時期が合わず、少し難しいと思います。種から有機栽培、無化学肥料で育てた我が家の冬のトマトです。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
丸い形のベルナーロゼ(左)やチェリートマト(右上)、イエローアイコ(その下)など9月に収穫したトマトたち
瓶詰めしたサンマルツアーノのトマトソースと、ブラジルミニをオープン乾燥させたドライトマト
2010年12月14日
北海道新聞連載⑮
北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年11月25日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑮「堆肥作り」
楽しかった有機菜園での作業も、まもなく終ろうとしています。僕たちの有機農園の仲間達は、すでに片付けも終わり、冬を迎える準備が出来ているようです。
僕はと言うと、もう一仕事、来シーズンのために、堆肥を積み上げておく作業が残っています。毎年、落ち葉が積もった頃をめがけて、山のわき道や公園の歩道に、集めに行きます。都会では、ゴミ扱いされている落ち葉も、僕にとってはお宝です。
堆肥づくりのための落ち葉集めの注意点は、分解が遅いイチョウやサクラなどの広葉樹や、笹・針葉樹などの葉は避け、ナラ、カエデ、ナナカマドなどを集めるように心がけます。
集めた落ち葉は、大きなビニール袋に詰め込んで、畑に運び込みます。僕の堆肥は、落ち葉に米糠をふりかけ、水をかけて踏みつけて、積み重ねていくだけの簡単なものです。今年は、コンフリーの葉を漬け込んで出来た液肥を、水と一緒にかけてみました。翌年、うまく分解が進み、パラパラと軽い堆肥が出来上がったときには、山の土はこうして出来ているのだと、うれしくなります。今年は、昨年積んだ堆肥を、移植したイチゴの植え床や、不耕起用の植え床に蒔き、藁や片付けた草をかけて冬を越します。水はけが悪く、すぐに硬くなってしまう僕の畑では、こうすることで、土が固くならず、翌年の春、畑仕事が楽しく進んでいきます。
また、来シーズンに向けて、余市の養鶏農家さんから、鶏糞を分けてもらいに行きました。安全な自家製飼料を食べ、平飼で育つ元気な鶏の鶏舎から、鶏糞をスコップですくい集めます。来シーズンは、鶏糞を上手く使った堆肥づくりにも、挑戦したいと思います。
僕達が出来る、循環する暮らしの原点は、街で暮らす人々が、消費するだけの生活から、生産する暮らしを始めることだと思います。ゴミと思われている資源を有効に使い、肥料や堆肥に変え、自家製の野菜や果樹を育て、食べた残葉はまた資源に変わる。単純なことですが、一番身近な暮らしの中にこそ、様々な環境問題を、リアルに感じさせる時間があるように思えます。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
お知らせ
12月4日(土)午後1時30分から札幌東区で西條さんの菜園生活講座「心地よい暮らしと住い」があります。僕の有機菜園生活と自然派住宅づくりを始めた話を中心に、肌に優しいナチュラル蜜蝋クリームづくりのワークショップを企画しました。
参加費¥1000 (みつばちクリームキット付き) 定員15名
お問い合わせは ビオプラス西條デザイン TEL011-774-8599までどうぞ
集めてきたミズナラの落ち葉を踏みつけながら積み上げ、土をかけた後、ビニールシートで覆い養成します。
鶏舎の床から鶏ふんをすくい集めます。