2010年08月03日 追加記事
北海道新聞連載②
北海道新聞 平成22年5月13日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ②「植え床づくり」
菜園作業の第一歩は土づくりからです。
僕たちの有機農園がある札幌・丘珠の土地は粘土質で水はけが悪く、雨が長く降ると水がたまり、なかなか抜けません。逆に、天気の良い日が続けば、ガチガチに固まって、コンクリートのようになってしまいます。本来、しっかりと耕さなければ、畑にならないような土地なのです。
このため僕は、地面の上を木板で囲って土を盛った「植え床」を作っています。「レイズベッド」と呼ばれる高い植え床です。植える植物や、ベースとなる地面の状況によって高さを変える必要があるのでしょうが、ありあわせの板を使用したので、高さ10センチほどの低いウネです。
この中に、堆肥、有機肥料、有機石灰などと一緒に、細かく砕いた使用済みの調湿炭を土壌改良剤として土に入れています。1平方メートルに1袋(5キロ)ほどの量です。植え床の中の土は、木枠のおかげで雨が降っても流れ出すことはありません。水はけが良くて、やわらかく、生きた良い土になってきました。
この方法だと、毎年の土起しや畝たてが不要になるので、面倒くさがり屋の僕には向いていると思っています。何よりも畑の準備が楽なので、種まきがすぐに出来るところが家庭菜園向きです。
植え床の枠になる材料は決まっているわけではありません。ゴロゴロと畑から出てきた石、余ったれんがや木板、拾ってきた木の枝、古い枕木など、調達しやすい物を利用すれば良いと思います。
ゴールデンウイーク中、僕は、植え床に自家製堆肥と油カスを入れながら種まきの準備と、チャイブ、ワケギなどのネギ類やレモンバーム、カモマイル、パセリなどのハーブ類を移植・株分けしました。月暦(陰暦)では満月の後のこの時期が、移植・株分けに最適とされているのです。
一方、農園の通路に、ワラやカンナクズなどを敷きつめました。除草剤や、ビニールの防草シートを使わずにできる、雑草の生えない通路づくりです。
防草シートの代わりに、水でぬらした新聞紙や段ボールを敷きつめて、その上にワラやカンナクズなどを載せ、水をまいて踏み固めると出来上がりです。これで、雑草取りの手間が省けます。また、雨が降ってもぬからずに収穫作業できるので、とても快適です。
3~4年後には木くずも分解され、土に戻すことができるようになります。菜園では、自然の素材で、最終的に分解され、土にかえるものをうまく使って、畑の環境を守って行きたいと思います。
さて今年は、レイズベッドの畑をもう少し増やせるように、がんばるつもりです。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
種まきや移植の準備が整った、今年で3年目の植え床<レイズベッド>です。
植え床には、堆肥のほか、土壌改良材として炭を入れます。